勝ち栗
科学技術万能の世。男達は空気銃を改造したりしてテクノストレスを解消していた。ノギ君も時代はずれの戦争オタクだった。戦艦大和の大模型を作ったり、日露戦争に取材した戦記小説を秘かに書いていた。そんな彼も清掃業の仕事場では大人しく上司に従っていた。その日はたまたま栗の木の掃除をさせられていた。同僚が管を巻いた。「トゲが痛てえなア。こんなの空気銃で打ち落としちゃあ楽なのに。だいたいこんな仕事なんざア、女でも務まらア」「いいじゃないか女であろうと主導権なんて勝ち組に握らせておけば」九州男児のノギ君はいたって冷静。「昔は祝い用のカチグリは女が臼でついたもんだ。男もそうして掌で転がして自分は長生きしてたんだから、負けるが勝ちとはまさに栗のことだ」同僚はまだ納得いかない。「しかし、こんなオートマな世の中じゃ、男はいつ勝ちゃいいんだ?いっそ戦争でも起きねえかなア」「戦争ごっこはモデルガンで我慢しろよ」「あんなの子供ダマしでツマラねえよ。ほんもんブッ放してえなア」「だったらオマエ政治家になれ」「ブッシュみてえに戦争起こすのか?」「コトバのな。今の政治見てるとまるで家計簿のヤリクリだ。大儀も見えないから歴史の繰り返しだ」「仕方ねえよ、女にゃ歴史はわからんから」「何でだ?」「さア、子宮で考えるからだろ。せっかく血が巡っても漏れッちまア溜まるもんも溜まらねえや」「そう言えばオマエんち子供つくらんのか?」「さアな、早くもババア化してらア、ジジイってほうが正しいかなア」「かわいそうに。女も愛されて子供が欲しくなるもんだ。オマエのつき方がヘタなんじゃないか」「面倒くせえからな…クリちゃんとか」「そこが、カチどころだろ!」2005年10月12日
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