キングダム デート 身に覚えあり
台風の目 朝だち ふしあな デマゴーグ
プライド 賢者の贈り物 べんめい
夫婦円満 しゅうかつ 婦人科にて
クリスマスプレゼント 幻体験 腹
プレイハウス
ある私立の男子校の部室で時雄が友人に話している。この夏、時雄は北海沿岸の、なぜか王国ばかり旅してきた。「すげぇんだよ、俺は住めないと思ったね」「何で?」「いやさ、はっきりしてんだよ。キングダムってのは」「は?何それ?」「王権国家。例えばさ、俺がステイしたホームってのが、奥さん五人いたんだけど…」「それ合法なの?」「うん。そういう価値観らしい」「男はみんなハーレムの王様になれる自由なら、みんな一生懸命働いて金持ちになりたいでしょ!」「ところが実際は、貢ぎ隊長って感じでさ、第一夫人はもう六十で尼さんの域入っちゃってるから御布施だの寄進に余念がないし、第二夫人は五十だけど遊び三昧にゴルフだのスキューバだし、第三夫人は四十で三人の子供がいて超教育ママなうえに家の改造が趣味だし、第四夫人は三十でそろそろ美貌の衰えが気になってて、ブランドだの宝石ジャラジャラだし、第五夫人なんかまだ二十歳そこそこだから色気ムンムンで…六十過ぎの主人は、もう外でも中でも身を粉にして懸命に働いてるって感じ」「並みの男じゃ勤まらないね。いっそ何でもカネとかで解決できるほうが気楽でよくない?」「それって俺らの住んでる無責任世界じゃん…別れりゃいいとか、辞めりゃいいとか、死ねばいいとか…」「んじゃあ、あっちじゃ離婚ってできないんだ?」「そう。キングダムってのは責任を重んじるんだ」「ふーん…あのさ、逆ハーレムっていうのはないのかなぁ?」「クィーンダム?」「そう!だったら女王様のために、アリみたいに一所懸命、働くんだけどなぁ…」「そうなったらなったで、今度は女王様が大変なんじゃん?」「何で?」「だって、責任の反対ってことは、自由を重んじるんだから」「え?何でもありでいいじゃん」「ってことは絶対に満足しちゃダメなんだぜ?」「ってことは、やっぱ並みの女じゃ勤まらないってことか。」そこへ三人目の寅雄が割り込んだ。「そんな空想してるのが一番、他愛ないキングダムなんじゃん!?」
2004年9月9日
一昨日見た夢。誰か知らないがとっても色っぽい美女が、二枚のカードを胸の前に持っていて、「このカードの裏に書いてあるものを貴方に差しあげましょう。さぁ、どちらのカード?」と言った。私は左の方のカードを選んだ。すると、美女の持っていたカードは二枚とも煙と共に消えて、彼女は大きなチョコレートケーキを差し出しながら、「もし反対のカードを選んでくれてたら、あなたとデートしたかったのに…」と残念な顔をした。そこで夢は終わってしまった。翌日、もう一度同じ夢を見た。そこで私は同じ過ちは犯すまいと右のカードを選んだ。すると二枚のカードを持ったまま、煙と共に美女はしわくちゃの老女に化けてしまった。「そんな!」と思った私は悔しくて、「デート」と書いてあるはずの右のカードをひったくって裏返した。するとそこには「結婚」と書いてあった。次に左のカードをひったくって裏返すと、それは白紙であった。そこで老女は言った、「もし反対のカードを選んでくれてたら、あなたとデートしたかったのに…」と嬉しそうに。
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2004年9月13日
「これが二十歳の女の子だったら、ヤバイすよね!?」九十近い老人の肛門に浣腸しながら、新米看護師が、ニタニタした顔で先輩に呟いた。先輩は表情一つ変えずに不謹慎な私語を「シッ!」と窘めた。帰り道、二人は偶然また一緒になった。「しっかし、よくあんな老人相手に、二十歳の…なんて空想ができるもんだねぇ!?」「あれは最近読んだ糸井重里のエッセイを思い出したもんで…」「あー、あの人も、無駄なことしか考えない人だよね!?」そういう先輩こそ、無駄な空想には身に覚えがあるから、他人をほめたり、けなしたりできる。最近多い痴漢の取り調べでは、それを逆手にとって、容疑者と楽しくエロビデオの鑑賞会をしているらしい。「いいよなー、このねーちゃん?」「刑事さん、これヤバイすねー!」「コラッ!おまえ、やったろ!」「…は、い」ウソ発見機より的中率は高いという。
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2004年9月18日
ある食品会社のオフィスで同僚二人が話している。「どうしたの、珍しいじゃん、台風さんが会議に欠席なんて」彼の的確な意見は、事ナカレ主義の上司達を困らせるほど無慈悲で、「台風」と呼ばれていた。「いや、それがおかしいんだ。ボクの手帳には午後1時からって書いてあったんだ」「遅刻ひとつしたことのない完璧なおまえが時間を間違えるなんて…だから明日は台風なんだな。」その後、彼に伝わっていた時間が間違っていたことが発覚した。「やっぱり連絡ミスだったんだってな。おかげでこっちはてんやわんやだったんだ!まったく誰なんだよ、ミスったヤツは!」「誰のせいでもないよ。人間だから間違いはある」「おまえって、いつもそうだよな。あんまり人に当たらないよな」「仕返しが恐いし。基本的に小心者だから」「…そうは見えないけど」「じゃあ、台風の目なんだろう」
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2004年10月8日
「なんかおまえ最近、朝から元気ないけど体でも悪いのか?」上司にそう指摘された彼は、結婚して一年半、まだ二十代の若さである。「それが…反対でして、もう半年くらい毎日のように…」「ああ、君んとこはまだ奥さんもピチピチだし、羨ましいなぁ」「いや聞いて下さいよ!最近、どうも変だなと気づいたんですが、どうやら奥のやつ私の朝立ちを勝手に利用してるらしいんですよ!」「へ!?どういうことかね」「あんまり大きい声じゃ言えないんですけど…朝起きてご不浄にいくじゃないですか、すると息子がヌメヌメして、やたら臭いんですよ」「そりゃ君、まだ若いから夢精でもしたんだろ?」「確かにそういう生々しい夢を見ることはあったんですが、ある朝みたら、鮮血がついてたんですよ!そのとき、奥のやつ生理で…」「男がする夜這いってのは聞いたことあるけど、それじゃあ…朝這いだなぁ」
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2004年10月9日
「昨日も、眠れなくてさー」若い高速バス運転手がサービスエリアで話している。「え、危ないなー。事故るよ。なんか悩みでもあるんじゃないの?」「この先、ホント、オレやってけんのかなーって…」シビアな話題の割に、特に追いつめられた様子もなく、他人事のように彼はいった。「多かれ少なかれ、みんな不安ってあるよ」「まぁね…」聞くと、休日に何もやることがないと不眠になるという。「いいじゃん、何もしないほうが。何かしなくちゃいられないのもつらいよ。それに案外何かしてるもんだよ、食べたり、見たり…」「だらだらテレビしかみてない…そういえば、友達が映画監督やってて、新作が結構話題になっててさ、昨日はホントにヒマで、その映画見にいったら、スゴイなー!って、それで自己嫌悪になって」「じゃあ、そういう気持も日記みたいに書いてみたら?」「そんなのホント下らないことばっかだよ」「例えば?」「フジの女子アナがステキだった…とか」「なんだ、不眠の原因はそんなのか!?」「例えばの話だよ!」「じゃあ、おまえの不幸せは、きっとその節穴のせいだよ」
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2004年11月6日
「私はこの度、WASAを定年退職するにあたって、隠していた驚くべき真実を告白したいと思います。前大統領が死去した今となっては、この真実が彼の名誉を傷つけることもないと考えます。それは、人類史上に残る5年前の、あの出来事に関する真実です。核兵器なるもののおかげで、つい15年ほど前まで、世界の強国同士がにらみあっていました。それが今、まるで嘘のように世界は沈静化しています。それは皆さんもご存知のように、かつて世界中に拡散していた核兵器を我が国が代表となって集結して、地球は小惑星セレスとの絶体絶命の衝突を未然に防ぐことに成功したからです。5年経った今も、全世界があれは文明の勝利だったと信じていますが、それは正確ではないのです。確かに世界中の核兵器は宇宙空間で炸裂しました。そのエネルギーは地球をも破壊する規模だったでしょう。しかし、そもそも小惑星との衝突は、我々WASAが仕組んだデマゴギーでした。我々は、前々大統領の命により地球上では禁止されている核実験を10年ほど前から惑星探査と偽って、小惑星帯付近の宇宙空間で秘かに行っていました。ところがその直後、世界各国の天文学者の間から、いくつかの小惑星の公転軌道に異常が起こっているという観測データが続々と発表されて、我々はその収拾に苦慮していました。そんな事態を見て、就任したばかりの前大統領が、『核エネルギーで小惑星の公転軌道を変えられるのなら、それを地球の軌道に重ね合わせることもできるか?』と提案してきました。当時WASAの顧問だった私は、『そんな自滅行為に何の意味があるのですか?』と、失礼ながら前大統領に聞き返しました。今思えば、そのときの彼の言葉が世界を核の冷戦の泥沼から救ったのです。彼はこう答えたのでした。『イデオロギー同士の対立を治めるには、世界という括りの上に、さらに大きな括りを設けるしかない。そのためには地球外に自然の脅威を人造するしかない』と。」
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2004年11月8日
「自分の悩みがわかってない?」「そう。だから何したって、すぐ飽きる」「やっぱり冷たい人ね。電話なんかするんじゃなかったわ!」別居中の夫婦(40代)が、三ヶ月ぶりに電話で話している。「相変わらず、君はプライドが高いな」「そうかしら?私はつねに自分がいいと思う相手にしか、素顔を見せたくないだけよ」「そうやって心に高い柵を巡らして、人に弱みを見せないようにしてる。そんなことをしてるから身近な幸せも見えなくなるんだよ」「そういうあなただって弱みなんか、私に見せたことあって?」「ボクは自分の弱みに誰よりも敏感だから、誰かに見せる前に、誰からも見つけようとするんだ」「じゃあ、今の私からも見つけられるでしょ?」「君はさっき、仕事場でセクハラされて困ってるっていったよね」「だからこうして相談してるんじゃない」「それは君自身が持て余してるから、隙を与えてるんじゃないのか」「私のせいだっていうの!?」「欲しいということは、あげたいんだ。君は、そのやり場に柵というより、フタをしてしまっているから…」「…じゃあ、それは…あなたも同じってことじゃない。」この後すぐ二人が撚りを戻したことはいうまでもない。
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2004年11月11日
『私は退屈な主婦です。夫とは、もう4年も性交渉がありません。どなたか、私のお相手をして下さる方、ご連絡下さい。お金の負担はこちらが持ちますし、お礼もお支払いします。云々』「どうしておまえ、こんなメールを見ず知らずの人間なんかに送ってるんだ!」夫(55歳)のパソコンを勝手に利用して、妻(43歳)は、当てもなくネットで出会いを求めていた。「だって!そこに書いてあることに何か嘘があって?こんなの夫婦の意味無いわ!」4年間の空白の原因は、夫のインポであった。「…じゃあ、オレも努力してみるから、こんな恥ずかしいことは、もうやめてくれ。」それ以後、妻は夫のインポ治療のために、身を粉にして働いて貯めたお金をすべてつぎ込んだ。「見て!見て!面白そうでしょ?この養成用パンツ…2万円もしたのよっ!」それだけではない。すっぽんの血、バイアグラ、アガリスクなど、あらゆる精力増強剤から、変テコリンな器具……新たな泉を見出した妻の飢えた愛情、というか好奇心は、そのマニアックな世界にのめり込んでしまった。それから5年経ち、夫は男性としての機能を約10年ぶりに取り戻すことが出来ていた。その頃ちょうど定年を迎えた夫にとって、それは第二の青春の始まりだった。「未知なる快楽の冒険を開拓しよう!!」夫の眼前には、限りなく明るい老後の未来が開けているはずだった…。「なによ、さわらないでっ!」ところが、飲食費を削って修行僧なみに粗食をしていた妻の性欲はもう枯れ果てていたし、片手間にしていたカウンセリングが本業になっていた。この後すぐ、二人が離婚したのは、いうまでもない。
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2004年11月24日
「おかあさん、父さんさぁ、昨日どこに泊まってきたんだろうね?今朝、帰ってきたでしょ」旧制中学に通う子が母に呟いた。母は黙ったまましばらく考えて、「お父様のお陰で、来年は留学させてもらえるのよ。つまらないこと言ってないで勉学に励みなさい。」我が子には懐の広い妻であったが、頼りないのは自分のほうだったから、「あなたっ!またコレのとこ寄ってきたのねっ!」と小指を立てて、すごい剣幕で夫、代三郎に詰問した。夫は黙って何も答えなかった。翌日も妻はしつこく詰問したが、代三郎は冷静に「記憶にない」と答えるだけだった。ある日、妻は彼の背広の内ポケットから待合の領収書を発見した。その「金壱萬圓受領」と記載された紙切れを夫に見せ、詰問した。「この領収書、何なの!?」「それがどうした?見ての通りだ」「本当に待合なんかに泊まってきたの!」「事実と思う」代三郎は当初の曖昧な発言を修正した。「ひどいでしょ、うちの主人」「あら、うちのなんて…」近所の井戸端では、不貞な亭主へのお奥様方の愚痴合戦。ある日、近所の旦那衆の集会に代三郎も参加した。「お宅も大変だねぇ。奥さんカンカンらしいぜ?」「関わりのないことだ。井戸端の話など知らぬ」「女ってなぁ、何でも家計簿に記載したがらぁ。アスビなんてなぁ、稼業への先行投資みたいなもんだって了見がねぇんだなぁ」べらんめい調の旦那は相当の悪党らしい。「奥がギスギスするのも自らの至らなさ故だ。金輪際、責任を逃れるつもりはない」どこまでも弁明しない代三郎であった。
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2004年12月1日
いまどきの三十代の夫婦の会話。「女らしく女らしくなんて、それってセクハラよ!いいじゃないの、ひとが何しようが」妻はレーサーだった。「…いや、そうなんだけど、やっぱさ俺達一応夫婦じゃん」「だから何なのよ?」「ごめん、いいや…」夫婦って何だろう?婚姻って誰のため?などとふと考える夫は、売れない映像作家だった。「あの、新しい番組の企画をいま考えてるんです」プロデューサーと飲みながら、彼は頭のモヤモヤを整理したかった。「で、どんなタイトル?」「『男らしく、女らしくはメーワク?』みたいな…」「へぇ、なんか十代の討論番組みたいだな…」「それをヨン様ファンの中高年に討論してもらうんですよ」「ああ韓流ブームね。だったら、スタジオに日韓両国の男女百人集めて…」「ああ、スイッチボタンでリサーチみたいな?」「そうそう!」ヒントを得た彼は家に帰って、番組で出す質問を考えていた。そこへ妻が帰ってきた。「みて、みて!このタイヤ!中古に見えないでしょー。ちょーラッキーだった!」「…」言葉を失いつつ、妻の出で立ちにふと目がいった。「女って何で化粧したり、そうやって着飾ったりすんの?」「しらなーい。自分がしたいからじゃなーい?」「じゃあ、子供って欲しい?」「ていうかー、オモチャはクルマでじゅーぶん」「オモチャ?クルマは恋人じゃなかったの?」「ダイヤのかわりにタイヤ?あははは」翌週、彼は再びプロデューサーと話した。「で、どうなった?例の企画」「ええ、いろいろ膨らんでますよ」「結論的にはどうしたいわけ?」「自分でもわからないんで、それが浮き彫りになるといいなと」「だったら、ゲストに専門家を入れたら面白いんじゃないの?」「ああ、今流行の精神分析とか心理学とかね!?」一ヶ月後、その番組は収録されたが…「ふざけないでよ、あんた!何が学者よ!あたしらが性病だっていうの!」「いや、ジェンダーフリーというのが自由社会の性倒錯だといっているんです」スタジオは騒然となっていた。「ヨン様が好きで何がわるいの!」「くっさい亭主なんて今さら愛せない!」「女が仕事に恋愛に、自由を謳歌して何がいけない!」いつしかスタジオは愚痴の応酬に。何も言えない日本男性陣であったが、学者は毅然としていた。「それは全部、頭の中での自由であって、理想で満足しようとしてるから、倒錯に過ぎない。心身の分離が、性を混沌化させるのは文明のせいでもある。」蚊帳の外で呆気にとられるばかりの素朴な韓国男女であった。むろん、番組は放送できぬ内容になり、ウダツの上がらぬままの彼だったが、心は晴れ晴れしていた。
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2004年12月7日
西暦2050年の就職活動は軍需産業が花盛り。かつて軍需産業は国家が秘密に管理してきましたが、それは五十年前までの昔話。今や軍備と言えば「陸海空」ではなく「空海」でして、国境を越えて民間企業が自由競争する時代です。ある大学で就職相談に訪れた女学生と、男性相談員との会話。「軍需業界に就職したいんですがぁ」「それはまた、どういう動機で?」「リスクを伴っても、スリルのある仕事がしたいんですぅ」「それは立派ですね」「…」「では、いくつか有力企業を紹介しましょう。まずは人工衛星を使った防衛システム『SMD』を開発したAM社です。世界一位のシェアを誇る『SMD』システムは、もともとはカーナビゲーションや携帯電話用に開発されたGPSをハイグレードに軍用化したもので、今では世界140ヶ国がオーナーとなっております」「でも、これだけ正確な監視システムが世界中に普及してしまうと、丸見えすぎて、お互いに手が出せないんじゃないですかぁ?」「ですからハード投資が定着した近年は、おもに人工衛星のメンテナンスと、情報管理ソフトのアップデートが当社の主な収益です」「なーんだぁ。修理ばっかじゃ、あんまり儲かりそうもないなぁー」「それなら、次にKR社を紹介しましょう。当社の開発した核弾道ミサイル『ネドン』は、毎秒10km、射程距離5000キロですから、目標までわずか10分で着弾します。威力は広島型の約20倍ですから威力圏は、直径約10キロです。現在、約20ヶ国に、計300発の配備を誇ります」「ってことは各国15発ずつ持ってるわけかぁ。それだけ持ってれば鬼に金棒だけど、それ以上持っても仕方ないんじゃない?」「ですが『SMD』の普及率に比べたら、まだまだ顧客開発の余地はありますよ」「でも、ミサイルは高価だから、買える国も少ないしなぁ。やっぱり儲かりそうもないなぁ」「ところが、この『ネドン』にも安価な強敵が現れたんです。JP社の開発した『サトリオット』は、かつての迎撃ミサイルとは違い、空中でミサイルを合成繊維で包んでしまうという画期的な防衛手段です。この合成繊維は大気圏突入でも燃えない強度と伸縮性で、いかなる生物化学兵器や核兵器を装備した弾頭も、ロケットごとコンドームのようにポイ捨てしてしまえるのです」「それなら、確かに安全そうだけどぉ…」「最近は、小さいながら電脳企業も参入してまして、CHN社の『NAV』は、なんと飛来中のミサイルのコンピューターにハックして、海上に着弾させるという、つまり、ピルみたいに安全に射精させるわけです。他にも…」「もういいです…就職なんかより、お妾になったほうがよッぽどイキ甲斐ある!」
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2004年12月16日
ヒステリーやノイローゼといった精神病と、クラミジアのような性感染症は症状も患部も根本的に違うが、病気の根っこは同じ淋しさなのかもしれない。先日、わが医院を訪れた五十女の患者の奇行を見ていてそう感じた。医者である私の童顔に見覚えでもあるのか、彼女は私を見るや、妄言を吐き始めた。「何しに来たの!また、わたしを犯しに来たのね」「は?違いますよ、ここは病院ですよ…で、どこがおかしいんですか?」「何?違う?いいわ、わたし一人でも出来るから…」見ていると、彼女は子供がバナナかアイスキャンディを握るような両掌の格好で、無邪気に上下に振って見せた。「ははは、それでおっきくなったら、自分が乗って、股に差し込むわけか?」あまりに天真爛漫な冗談に、つい乗ってしまった。「娘にも、このやり方を教えたら、そればっかりやるようになって、困っちゃった…」「(死ぬまでやってろ…と思いつつ)さぁ、足開いて患部を見せて下さい」患部を脱脂綿で消毒しようとしたとき、突然彼女が叫んだ。「何すんだ、やめろー!」あまりの声に、診察室の外にいた看護婦がのぞき込んだほどだった。「消毒してるんですよ。でないと診察できませんよ」「やめろー、すけべー!」さっきまでの自慰の真似とは反対に、今度は私の手を激しく払いのけながら、顔は恥じらいで赤面していた。この患者の感染症は、軽いものだったが、精神科へ入院させることにした。同じような診察の場面で、反対に私の手を握って、力を込める人もいたが、そういう無恥な人ほど酷い感染症に犯されていた。
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2004年12月23日
西暦2035年のクリスマス商戦の街頭から生中継インタビュー。「今年のヒット商品は、何と言ってもコレ!『ポータブル・セックス・プレイヤー(価格2万9800円)』、略してPSP!この珍商品、なんと医療機器メーカーのテルミが販売元で、元々は『心身分裂症』の治療のために開発された機器の廉価版だそうです。『心身分裂症』とは、例えば食事をしたばかりなのに満腹感がなく、つい食べ過ぎてしまうなど、何をしても満足感がなく常にダルい倦怠感ばかり…という現代病の総称です。で、このスタンプみたいな電極《シュテンペル》によって様々な微妙な手触りまで情報化・再現でき、それをネット回線を通じて『チャットプレイ』や『メールプレイ』のかたちで送受信できるというスグレモノなのです!ちょっと、店内にいる若いカップルにインタビューしてみましょう。すいませーん、ちょっと伺ってもいいですか?」「は、はい」「いま、買われたPSPですが、どんな点が魅力ですか?」「え、そりゃー、会えなくてもヤレるとこじゃないすか?」彼がアケスケにそう答えると、彼女は彼の腕をたたきながら言った。「やだぁー恥ずかしぃ!」「じゃあ、ケータイかけながら同時に使ったりするんですか?」「てゆぅかねー、彼ってパイロットなんでー、ケータイも通じないのー」「なるほど、それはつらいですね。じゃあ、この『メールプレイ』なんて、ちょうどいいんじゃないですか?愛撫だけロンドンから送っといて、帰国後バッチリお楽しみみたいな…」「あー、それに…何回もリピート再生できるんでしょ、コレって?」彼女がそう言うと、彼、しばらく沈黙した後、白けた顔で言った。「ってことは…他の誰かのプレイでも転送できる!」二人の恋仲がこの後どうなるかは想像にお任せしますが、いらない物を持たない人には、不満や倦怠もないのでしょう。
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2004年12月25日
香港で最近話題のテレビ番組『仮面之告白』は、一般の公募者が自らの性体験について覆面で赤裸々に語り合うという異色のもので、当局としては甚だ眼の上のタンコブだろう。先日放映された告白のテーマ『初体験』で、ある少女(14)が、「自分の初体験は、胎児期に母親とした楽しい入浴と、心地よいオムツ換えだ」と語ったことが大反響となった。「そんなこといったら私は、お母さんのおっぱいが初体験だ!」とか「なるほど、だから好きな人と一緒にお風呂に入って、洗ってあげたくなるのね!」とか「それで叱られたり、なじられると何故か気持ちいいのか!」などと変に共感する意見や、「あんな少女は、将来ろくな結婚ができない。まともな性生活も無理だ!」という中傷や、「本当の男性を知らないから、あんな可愛そうな事を…」という同情めいた意見もあった。そんな反響の大きさに、今度はテーマを『原体験』として、成人の親子を数組集めて、親には昔の育児談を、子には性生活を語らせるという前代未聞の企画が実現された。ある息子(35)が「私がいまだに結婚できないばかりか、同年齢の女性に恐怖感すら覚えるのは、五歳の時に、母親(当時、今の彼と同年代)に施された割礼のせいだ」というと、親(65)は「だからといって何故、幼児性愛に走るのだ」と逆ギレして収拾がつかなくなったり…また、三回の離婚を経験している息子(45)が「自分が浮気性なのは、親が幼い自分を可愛がりすぎたせいではないか」というと、親(70)は「私たちは当時、共働きで忙しく、ほとんど子供の面倒を見たのは祖父だった」などと、いない人間に責任転嫁したり…。この放映の後も大反響だった。中でも目立った意見は、「本当に性の原体験が母子生活ならば、理想はマザコンじゃないか!近親相姦じゃないか!?」というものだった。というわけで、その次の放映のテーマは『幻体験』に決まり、番組も収録されたが、当局の検閲で放映禁止となった。神様も幻だから美しいが、もし実在するとしたら、その姿はテレビでは放映できないほど凄まじい津波のようだろう。あるいは隣で大口開けて寝ている憎たらしい人のような。
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2004年12月31日
閑野のデブといえば、界隈で知らない者はない。胴回りは五六尺あって、腹の肉はヘソの上から恥骨の辺りまで垂れ下っている。ある日、閑野は我利博士という一風変わった医者のもとへ相談にいった。「先生どうかこのお腹を引っ込めるクスリはありませんか?」「あるよ」「ホントっすか!?じゃあ、おいくらっすか?」けっこう高いなと思ったが、閑野はそのクスリを買うことにした。「その前にじゃ、君の脳カロリーを計測せねばならん」「ノウカロリー??」「そう。人間の一日のカロリー消費量は(身長−100)×30と決まっておる。そして脂肪の付かない所も決まっておる」「それって、どこっすか?」「頭じゃ。じゃあ同じカロリーを摂っても、太る人とそうでない人がいるのはどうしてだと思うかね?」「運動量の違いっすか?」「惜しい!正解は脳内の血流量じゃ」「え?じゃあボクは頭の回転が悪いからデブなんすか?」「いやそうとも限らんよ。ストレスが大事なんじゃ」「そうっすかね?逆に暴飲暴食の原因じゃないっすか?」「いわゆる痩せの大食いの人を千人調査したんだが、皆共通した点があったんじゃ」「何すか?」「心拍数の変動じゃよ。すぐにクヨクヨしたり、ハラハラしたり、要は小心者なんじゃ」「へぇー!」「君はブラックジャックのような私の所に尋ねてくる太々しさだから痩せるわけがないな!はははは(笑)」「…」「ほら、ご覧なされ。君の脳カロリーはDレベルだ」「何すか?そのDレベルって?」「このチャート表を見てごらん。AからEまで五段階に分かれておるね」「…Dレベルの人は重度の脳肥満!?その原因は…何事も慣れや決まりに頼る保守性と、何事にも説明や道理を求める合理性…」「そうじゃ。その規則依存症が脳の働きを怠慢にし、さらに予想外の現実からくるストレスが食欲に向かわせる悪循環なんじゃ」「じゃあ、どうすればいいんすか?」「うまくいかなくてもてきとうに放っておくことと、考えてもわからないことに関心を持つ事じゃな。このクスリはDレベル用に調合してあるが、まあ、軽い睡眠薬みたいなもんじゃよ。ふつうは一錠だが、困ったら少し多めに飲むことじゃ。大事なのはストレスを楽しむ心構えじゃ!では健闘を祈る」ダイエットを始めて、一週間。閑野は以前からジョギングをしていたが、いつもの決まり切った土手のコースを出鱈目に外れてみたら、迷子になって二時間も彷徨ってしまった。「こんなに広かったっけ、この界隈!?確かにすっごいドキドキしたけど、もうヘトヘトだよ…」いつもきちんと整理する習慣をいい加減にしてみたら、全然見つからなかった。「もうイライラすんなー」あらゆる日常のルーチンワークをやめてみたら、失敗ばかり。「ちょー、ムカつくー!」そんなとき、閑野は我利先生のくれたクスリを二錠ばかり飲んでみた。少し気が休まった。二週間が経った頃、友人に指摘された。「おまえ、いつからそんな映画の趣味になったんだよ?」以前はラブストーリーやファンタジーばかり観ていた閑野だが、知らぬ間にスリラーものやコメディにハマっていた。プロ野球中継の乱闘シーンに「やっちまえー!」と拳をあげる彼に、だんだん友達は少なくなった。そして一ヶ月が経った。「何、閑野の格好…」職場の同僚は彼の奇抜なファッションに閉口した。そんな周囲の気配に彼は内心赤面した。その頃、好きな女性が現れた。以前なら「やぁ!」なんて気さくに声をかけたが、今の彼はまるでダメ男。ブツブツと独り言をいっては、対面すると唇が重くて、つい早口になってしまう。やっとの思いで誘ったデートの場所は、以前なら話題のスポットのはずなのに、何故か遊園地。「ジェットコースターに乗ろうよ!」彼女は戸惑ったが、彼の勢いに負けて乗ってみることにした。そして五回目のデートで、彼の故郷の『泥祭り』に連れていかれた。彼は泥水にまみれて勇敢に牛と格闘したつもりだったが、彼女の堪忍の緒も切れた…。失敗ばかりで仕事もクビになって、もはや人生のドン底だった。インチキなテレビ番組もつまらなくて観なくなった。なのに自分のオナラの音に何故か腹の底から笑ってしまった。「ああ、こんなに心の底から笑ったの久しぶり…」ふと顔を上げて見ると、街を歩いて笑ってるのはみんな細い人ばかりだった。「太ってないから笑えるんじゃなくて…ホントは反対なんだ」彼はそう思った。「よく笑うのは、先が見えないからだ」と気づいたとき、彼の五六尺の腹はへこんでいた。「こうなれば、もう誰も笑う人はいないに違いない」閑野は心の中でそう自分に囁いて、立小便した。出っ張った腹で見えなかったイチモツを見下ろしながら。(参考文献『鼻』芥川龍之介)
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2005年1月4日
ここアメリカンスクールで、最近流行ってるゲーム、PLAY-HOUSEを紹介します。ルールは簡単。一人がnovelistになって短いscriptを考えて、他の子に演技させるんです。ふつうはあり得ないようなscriptが面白いんですが、とんでもない事も起こせますから、novelistの役目は重要です。みんなの幸福を目指さないと失格というワケです。先日、novelistの番になったNICOは、いわゆる引きこもりの子で、スクールには週二日くらいしか来ませんが、実に不思議なscriptであたしたちに大切なことを教えてくれたような気がします。NICOのscriptは、いわゆる昔のおままごとで、セリフらしいセリフがありませんでした。なぜってNICOがお母さん役で、あたしたち四人は、みんな赤ちゃん役だったからです。いつもやんちゃで、いじめっ子のBELINDAには、地べたに座らせ、堪えられなくなったら「オギャー!オギャー!」と二回言うようNICOは指示しました。その時です、NICOはホントに自分の乳房を出してBELINDAに乳首を吸うよう指示したんです。これにはみんな唖然としました。そしてアートのクラス以外は居眠りばかりで、あだ名がvagabondっていわれてるCYNDIには、机に座ってじっと眠る真似をさせ、堪えられなくなったら「オギャー!」と一回言うよう指示しました。その時です、NICOは自分と同じくらいの体格のCYNDIを負んぶしたんです。これにはみんな唖然としました。そして生徒会長で、将来は政治家を目指しているKATEに対してNICOは、おままごとの道具と「ひー、ふー、みー」というセリフを与えました。そしてBELINDAに、ワザとそのオモチャを取り上げさせ、その際KATEにはBELINDAをたたくよう指示しました。その時です、お母さん役のNICOがKATEの尻を思い切りたたいたんです。思わぬ痛さにKATEは涙目でした。これにはみんな唖然としました。そして最後、あたしにNICOが与えたのは、タイムキーパーの役だけで何の指示もありませんでしたから、かえって気になって、こうして書いています。今、NICOはスクールの外でどんな体験をしているのでしょう?
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2005年1月10日 |