2005年3月13日
「どうして娘がオレと同じ名前でわりぃんだ!」役場の戸籍登録で父親と職員が言い争っている。「当たり前じゃないですか!どこにそんな親子がいますか?」「落語家だって歌舞伎俳優だって襲名してるじゃねぇか」「あれは芸名でしょう。本名は別にあるんですよ」「うちは芸人一家じゃねぇから、本名で襲名するしかねぇんだ」「第一、女に男の名前つけるなんて変じゃないですか?一体何でそんなことしなきゃならないんですか?」「オレの名前を呼ばれてりゃ神様を忘れることもあるめぇ。オトコだ、酒だ、アソビだなんてフラフラしないためだ」「ひどい親だなぁ…それじゃ娘さんが可愛想だ」「何処の馬の骨とも知れねぇ他人にトヤカク言われる筋合いはないね」「それに手続き上、紛らわしいじゃないですか」「そんなの徴税の都合だろ?間接税だの背番号制にすりゃいいじゃねぇか」「郵便物とか呼び出すときだって不便じゃないですか?」「じゃあ、しかたねぇ。死んだオヤジの名前ならいいだろ?隔世襲名だ」「それだって困ります。せめて最後に一字くらい加えて下さい」「そんなルパン三世じゃあるめぇし」「たかが命名に何でこだわるんですか?」「じゃあ、わしら貧乏人が命の他に何を受け継げというんだ!」2005年3月15日
「♪悲しみのない自由な空へ翼はためかせ行きたい…」彼女はまさにそんな天使のような女優だった。小さいときから身近な人に感情をさらけ出すことが苦手だった彼女にとって役を演じることは感情を表現できる唯一の手段だった。そんな天使が急にアルコールやドラッグに溺れ、スカイダイビングやカーレースに夢中になったのも、「鳥人病」という「悲しみ」や「痛み」が麻痺する病気におかされてからだった。堕天使といわれては女優業も引退せざるを得ず、医師に勧められたとおり田舎で静かに暮らすことになった。三十年後、人気番組『あの人は今』の取材班に発見されたとき、彼女の屋敷は一面ツタや植物で憂そうと覆われていた。誰の問いかけにも反応しない彼女はすぐに入院し、経管栄養による植物状態のまま二年間も心拍と呼吸を続けた。その変わり果てた姿が再びテレビに映し出されることはなかったが、死とは何か考えさせてくれた彼女は、最後まで正しく天国からの使者だった。| 2005年3月19日 | | |