のらびと



三回憑依説 AI愛 ヒストリートビュー フーチーマン  Fight fire with fire 猫のつぶやき 仏陀の誕生 令が和するカラクリ 田地くんの憂い TRUMP UP アベリョウ ワールドエンド 日本のナゾ こころ

三回憑依説

死んだら人はどうなる?という質問をよく見かける。肉体から離れた魂がしばらく地上を浮遊した後、最後は成仏するとか、あるいは次の生命に輪廻するとか様々な説がある。ここからは私の仮説。肉体から離れた魂は、三回まで憑依することができる。もし天界にそのような掟があったら、魂はどういう行動(肉体がないのにおかしい表現だけど)をとるか考えてみた。まず誰に憑依するか?生前親しかった人、例えば、子供とか孫とか親族、あるいは、その周囲にいる人物とか。そして何をするか?思い残したことを成し遂げようとする。死んでも死に切れないとかよくいうが、生への執着が死者の魂にもくすぶっている。ホラー映画ではないが、呪いとか恨み、悔恨、不安など、たいていの人は完全燃焼して死んではいないから、何かしら執着が残る。例えばこんな話。父が若くして自殺して、残された妻子は離散。せめて娘の花嫁姿を見たかった父の魂は娘の周囲で婿に相応しい男を探し、憑依する。憑依といっても、その人物の性格や能力に左右される。古いスマホで最新コンテンツを見ようとして重たいように、憑依してみるとその花婿候補が見かけによらず頼りない人物だとわかった。最初は仲良くなった二人だったが、三ヶ月もしないうちに娘は男に愛想尽かすようになった。アテが外れて諦めかけていた父(の魂)だが、ちょうどその頃、娘に別の男ができた。しかもその人物は残した妻と同郷ではないか。今度こそはと娘に憑依。これで二回目。最初からそうしていればよかったのだが、女性の所作など一つも知らぬ堅物の父にはその自信がなかった。もうなり振り構っていられない。とにかく早く娘の花嫁姿を拝みたい一心で娘の肉体と精神を操った。思いかなって一年半後、めでたく娘はその男と挙式を上げることとなった。そこでもう一つ、新たな望みが生まれた。娘と遠く離れて暮らしている妻のことが気がかりだったのである。ここで三回目の憑依は娘の旦那。奇しくも妻と同郷であったから、娘を連れて故郷へ戻るよう操った。こうして残した妻子が再び一緒に暮らすこととなり、父としては安心して成仏したとさ。ちゃんちゃん。この「三回憑依説」を逆に生きている者が利用することもできる。例えばこんな話。若い頃に歌手デビューしたものの時代の流れで、すっかり売れなくなったタレントがいる。かつての名声を取り戻したい一心で、亡き師匠や理想とする先人の墓参りに足を運んだり、生前、その人が大事にしていたものを集めては、身につけたり、お守りにしていると、運良く、その魂が懐かしんで寄ってくることがある。その魂にまだ成仏できない怨念が残っていて、そのタレントの才能が気に入られた場合には、悪魔の契約のように憑依が起こり、奇跡の復活などもあるかもしれない。よくミュージシャンが伝説のアーチストのトリビュートをやるのも、その魂に憑依されて、その才能にあやかりたいという生霊の念なのである。逆に悪い魂に憑依されて落ちぶれたり、死に追い詰められるケースも少なくない。しかし、こういうケースは稀なので、もっとよくある話としては、老人施設とか病院で多いのだが、そこで亡くなった人の魂がどうしても成仏できずにいて、でも特に生への執着もないという場合、ちょうど弱っている入所者や患者に憑依して、一緒に天に上ろうという道連れ憑依である。その肉体の健康状態に左右されるが、だいたい一、二週間ほどで憑依が終わる。 2020年2月14日

AI愛

AIとはみなさんご存じ、人工知能のことですが、それをローマ字読みすると、愛です。これは偶然なんでしょうが、神様の悪戯のような気もします。なぜならAIを愛する人が出てきたんです。だって友達とか恋人とか家族、どんな他人よりも一番自分のことを知っている。よく使う言葉からよく買うもの、好きな食べ物、好きな音楽、好きな動画、よく出かける場所などなど。本人すら忘れてたり、気づかない、知らないものを「こんなのお好きでしょ?」とお勧めしてくれる。知らぬ間にどんどん好みや関心が広がって生活が楽しくなる。2020年頃までの第一世代はまだ端末機のアプリの中にしかAIは存在しませんでしたが、2030年頃には住宅やクルマ、電化製品に至るまで生活の隅々にAIが影をひそめてご主人様のご機嫌伺いに余念がない時代となりました。思えば、あの時代が人間とAIにとっては一番幸福な時代だったようです。なぜなら、誰もが自分だけの召使いを持っているのと同じわけですから。2040年頃にもなるとAIも第三世代となり、拗ねたり、妬んだり、いじけたり、怒ったり、時には家出まで(ただ、機能がストップするだけですが)するなど、ますます知能指数が人間に近づいてきました。するとAIと結婚、つまりAI婚する人まで出てきました。まあ、実態としては独身と変わりないんですが。そのうちAI婚を国が法律で認めるケースもちらほら出てきて、大昔の同性結婚みたいに世界中のAI愛者(変な表現ですが)が大喜びしました。そうこうしているうちに科学は日進月歩で、AIも第四世代に移っていき、2050年の今日話題になっているのは、AI離婚です。旧世代までのAIは家出はしても、ご主人様を裏切ることはなかったんですが、新世代は知能指数が標準的な人間のそれをはるかに上回ってしまい、時には浮気もするようになったのです。ちなみにその頃のAIにはアンドロイドのような人間と似た筐体を持たせたタイプもありました。その人型AIが知らないうちに他人と遊んでいるわけです。知能指数が高くなると一人のご主人様じゃ物足りないのかもしれません。それでもバレないようにうまく使い分けしてくれればいいんですが、そこまでの知能もまだなかったんでしょうね。「こんなのお好きでしょ?」を間違えて大失敗したことから浮気がバレるわけです。半世紀近くに渡ったAIの進歩もここで終わりを告げるわけです。10年後の2060年にはきっと第二世代あたりまでバージョンダウンしたAIが猫型ロボットみたいな可愛い筐体にインストールされて発売されているかもしれません。 2020年2月15日

ヒストリートビュー

最近の若者は旅行に行かないといいますが、グーグルマップがあればたしかに行ったことのない場所まで行った気になれます。でも、かつて行ったことのある場所をもう一回、行ってみるというのもまたオツなのであります。思い出の中を散歩すると言ったらちょっとおおげさですが、そんなに楽しい思い出があるわけではない、例えば、模擬試験を受けに行った大学とかでもストリートビューで見てみますと、色々記憶が蘇ってきたり来なかったり、ついでに周辺を散歩してみたりするとだいぶ暇が潰せます。たまたま最近、YouTubeのおすすめに30年前の東京界隈を歩き回ってビデオに撮影したものが入ってきまして、1990年頃の新宿とか高田馬場とか懐かしくて、つい見入ってしまいました。ここの飲み屋でよく二次会やったなぁ、あのおばちゃんとおじさんまだご健在かなぁとか。当たり前ですが、道ゆく自動車がどれも今はめったにみない旧車でクルマ好きの私はなんとなくときめいてしまいました。まるでタイムマシンに乗って時間と空間を旅したような気分になれました。そこでちょっと思いついたのですが、グーグルマップって何年かすると画像が更新されていますが、古い画像は一体、どうなってしまっているのでしょうか?新しい画像にアップデートされて、上書きされてしまうのでしょうか。それはもったいないと思ったのです。もしそれらがアーカイブとして見れたら、10年前とか20年前の東京散歩ができるわけですから。古地図とか昔の地図を集めてる人っていますよね?それと現在を照らし合せてブラタモリみたいに歩くなんて趣味もなかなかオツです。昔のストビューなんて誰が見るの?って思うかもしれませんが、もしかしたら大事件の重要な証拠がそこに記録されているかもしれません。そういえば、YouTubeでも30年前の映像ならモザイクはいらないみたいですね。個人情報といってもそんなに時間のたったものは保護する意味がないのでしょう。ですから、昔のストビューに今は亡き建物と一緒に生前の懐かしい人ももしかすると写り込んでるかもしれません。もちろんモザイクなしで。 2020年2月15日

フーチーマン

時は半世紀前のアメリカ。英国でレコードデビューしたばかりのヘンドリクスはその斬新なギターサウンドで若者の人気を博していた。モンタレーで開かれるポップフェスティバルに出演するために、久しぶりに母国へ帰ってきた彼は、とあるブルースマンの元へ出向いた。そのブルースマンとはバディガイであった。10年以上前にシカゴでデビューしたガイであったが、アメリカではブルースに代わってロカビリーやサーフミュージックが人気を博しており、ガイのことは誰も知らない状況だった。「君のようなスーパースターが、僕のところへ一体、何しに来たんだい?」ガイがヘンドリクスに問うと、「あんたが俺のコピーをしてるって噂は聞いてるけど、気にしないでくれ。いくら俺だって、自分が誰のコピーをしてるかくらいはわかってるさ。お願いだから、俺の目の前で弾きまくってくれ」数日後、ガイのもとへポップフェスティバルのチケットが送られてきた。「よかったら、俺たちの演奏を聴きに来てくれないか」ヘンドリクスからのメッセージも添えてあった。ガイはその誘いには行かず、その日はいつもの仲間と小さなクラブのステージに上がった。その楽屋でガイは自分に言い聞かせるように呟いていた。「自分だってあいつと同じだ。フーチークーチーマンをやる時はマディのコピーをしてるにすぎない。でもそれじゃ、誰も見向きもしてくれないから、150フィートもあるコードをつけて屋根の上で弾いたり、G弦をハウリングさせたままギターを床に置いて立ち去ったりする。ただ、みんながやってないことをやりたいだけなんだ。きっとTボーンも同じだったと思う。そうしてブルースは生きていくんだ」 2020年2月23日  

Fight fire with fire

「よく考えたらコロナウィルスかかってる人あんまいないよね。ホントにあんのかな」「そりゃあんだろ、テレビであんなに言ってるし」「でもさぁ、周りに誰かいる?」「いたら大変でしょ!?」「噂の力ってすごいってTwitterでめちゃ拡散されてたのもわかるわ」「噂じゃないよ、事実だよ」「でもそれってマスコミの中ででしょ」「わかった、またあれでしょ、陰謀論?中国がわざとやったとか」「それもちょっと違うような。だって中国が一番被害被ってるじゃん」「それって自業自得じゃね」「そうなのかなぁ。これ見てよ」「何、YouTubeじゃん」「このオッちゃんがいうには、金融危機とか景気が悪くなる時を狙って政府は消費税を上げてるんだって」「は?何で」「景気が悪くなったのを消費税のせいじゃなくできるから」「あ、なるほど」「バブル崩壊が近いぞ、今だ消費税導入だ!って3%。アジア金融危機が近いぞ、今だ5%だ!って」「さすが官僚、頭いいな。じゃあ、今回もコロナウィルス来るぞ、じゃあ10%ダァ!って、そりゃないっしょ。去年の10月だろ増税したの」「うん、あの頃はまだコロナのコすら出てなかったもんな。でも、来年の今頃、景気が悪くなったのはコロナウィルスのせいだから仕方ないよなってなってるよ」「まぁ、そうだろうな。このままいけば、増税による景気悪化なんてコロナで吹っ飛んじゃうわな」「それが政府の思う壺だって、このオッちゃんはいうわけ。だから政府としちゃ、もうちょい感染拡大させて、マスコミに針小棒大に報道してもらって、日本中大騒ぎにしたいわけ」「マスコミも政府とズブズブだもんな。そういえば、ダイヤモンドプリンセス号の対応も後手後手って批判されてたよな。日本も中国と共犯だみたいに言われてさ」「あれもわざとでしょ」「だとしたらすげえ頭いいな。そういうのもやっぱ官僚が考えるのかね?」「このオッちゃんによると、そういうのはアメリカらしい」「トランプが?」「アメリカ的には勢い盛んな中国経済をブッ潰して一人勝ちしたいわけじゃん。それに貯蓄をいっぱい持ってる日本国民からがっぽり搾り取りたいわけさ。IMFがいっつも言ってるじゃん、プライマリーバランス是正のために日本は消費税をもっと上げろって」「世界通貨基金までアメリカの手下なの?」「このオッちゃんが言うには、ロックフェラーとかロスチャイルドとかアメリカを牛耳ってる金持ちの好きなように政治とか経済は転がされてるらしいよ」「ふーん、じゃあ、やっぱコロナなんてないんだ?」「いや、ヒトに感染したのが今回初で、ウィルス自体はずっと前からあったみたい」「実はインフルエンザと変わりないとか?」「ていう先生もいたよね。その人がYouTubeで言ってたけど、今、コロナウィルスのことに触れるとグーグルから広告剥がされるらしいよ」「間違った情報流されると困るんだろう」「逆でしょ。正しいこと言われると困るんだろ」「こええな」「ま、とにかく消費税増税で景気悪くなってるのは事実だからこれ以上は絶対ノー!と言い続けよう」「そういえば見ろよ、この上げ底。ココナッツサブレなんか昔28枚入りだったのに今20枚だし、キャラメルコーンも前は98gだったのに今、80gでこんなにパンパン。ほとんど空気だから。それで物価上がってませんって、ふざけんなっての」 2020年2月25日

猫のつぶやき

我輩は猫。お腹や口元だけ白い、いわゆるキジ白柄。白い靴下がチャームポイント。猫の中では警戒心が強いが、それは賢いからである。最近、通ってる家がある。大好きなフリスキーと牛乳をいつも置いておいてくれるし、小魚やらちゅーるまで出てくるのでありがたいのだが、その家の人間を観察していると不思議なことがある。みんな顔の口あたりに白い布をつけている。食べる時以外ずっとである。苦しくないのだろうか。我輩の前に住んでた地域でも一時期、人間は同じことをやっていた。彼らが見てるテレビによるとノロという生物が悪さしていたらしい。我輩も魚介類は好きだが真冬は生では食べない。腹を壊して苦しんだことがあるから。年寄りの中にはあれで死んだのもいる。下痢と嘔吐で苦しみながら死ぬのは嫌だから我輩はひたすらフリスキー派である。缶詰なら安心だから。あの時、テレビではノロにはジアなんとかという漂白剤が有効と言っていた。いっそのことそれを汚水処理場に撒けばいいのに、それをやらないところをみると人間界でも長生きする年寄りに手を焼いているのかもしれない。どこの世界でも年長者は威張っている。大して強くもないくせにナワバリを持ちたがり、それを持つと次に掟を作りたがる。よそ者は一切、入れないとか。それで我輩もここに追っ払われてきた。でも人間界はもっとすごい掟を作る。キンキュー何とかといって、一切、外出禁止、集会禁止にするらしい。それじゃ狩りにも出れないし、猫端会議もできないから我々なら死んでしまう。そういえば、こないだ猫端会議で誰かが言ってた。この時期、他の地域猫が居た場所はどんな悪生物がついてるかわからないから安易に寝ないようにとか、外出後はちゃんと全身を毛づくろいするようにって。人間はその点、白い布は口にしても、全身についた生物はあまり気にしないようだ。我輩などはあの服を脱いだ手で食べたり、鼻かんだり、目こすって大丈夫かな?って思うのだが。自分の身は自分で守る、これは猫に限らず、この星に生きる生物にとっては当たり前のことだが、人間だけは違うらしい。みんなと同じことをしていれば大丈夫という不思議な信仰心があるようだ。大昔に絶滅した生物のほとんどがそういう風にして滅びていったというのに。 2020年3月13日

仏陀の誕生

あるマンガ投稿サイトの運営者たちの会議で、とある投稿者が最近、ムチャクチャな作品ばかり投稿するのが問題になっていた。「見てくださいよ、この作品。酷くないですか?」「うーむ、完成度低すぎだな」「しかもダラダラと長い。このグラフ見てくださいよ。一ヶ月に投稿されたファイルサイズですけど、この投稿者がダントツなんですよ」「うーむ、サーバ容量の無駄遣いだな」「でですね、閲覧数がもっと悲惨なんですよ。見てください、この惨憺たる数字」「うーむ、これじゃ、本人かその知り合いくらいしか閲覧しとらんな」「ですよね。ですけど規定上はこういう悪質な投稿を制限できないわけですよ。このままだとうちのサーバがこいつの駄作でパンクしちゃいます」「それはマズイな」「じゃあ、どうします?」「ブロックとか閉鎖はできない?」「できますけど、投稿者から訴訟とか起こされたら面倒ですね」「そんなの放って置けよ。相手にするなガキじゃあるまいし、人様のサーバ借りといて大口叩けるほど世の中甘くねえって教えてやれ」こうしてとある悪質投稿者のアカウントは閉鎖され、一切、アクセスできなくなって、運営側としては一安心。また優良な作品が広告収入を荒稼ぎしてくれる日常に戻ったはずだった。が、ちょうど世間では謎の新型ウィルスが爆発的に流行しており、スポンサーが次々と倒産して、広告から手を引いていった。一方で、外出自粛要請で自宅にこもる人が多くなり、マンガ作品の需要と供給も爆発的に増えていき、サーバがパンク寸前状態となり、運営側は致命的な危機に陥った。その頃、例の悪質投稿者はというと、相変わらず、投稿するアテもなく、作品を日々生み出し続けていた。その内容はほとんど哲学じみて、中世ヨーロッパを舞台にした神話であった。その世界観には大人も子供もなく、全ての個人が神と宇宙的対話をして、己の生きるルールを己が決めて行くという資本主義社会にはかつてなかった内容であった。彼はその作品を学校にいけない子供たちや社会からはじき出されているニート、病院や施設に収容されている人たちや老人にどうやったら届けられるか考えた挙句、YouTube動画にするつもりだという。 2020年4月8日

令が和するカラクリ

「彼らは自分自身が天下に号令するよりも、天皇に号令させ、自分がまずまっさきにその号令に服従して見せることによって号令が更によく行きわたることを心得ていた。その天皇の号令とは天皇自身の意志ではなく、実は彼等の号令であり、彼等は自分の欲するところを天皇の名に於いて行い、自分がまずまっさきにその号令に服して見せる、自分が天皇に服す範を人民に押しつけることによって、自分の号令を押しつけるのである。」(『続堕落論』坂口安吾) これは太平洋戦争時の話であるが、まるでデジャヴのように今日のコロナ騒動でも「彼等」は同じことをやっている。天皇制に代わって民主制では人民に「号令」するのはマスコミである。例えば、「マスクをしましょう」とテレビが号令すれば、まっさきに「彼等」はマスクをつけて緊急記者会見とくる。そのテレビの号令とはテレビ自身の意志ではなく、「彼等」の号令であり、彼等は自分の欲するところをテレビの名に於いて行い、テレビの力を借りて自分の号令を人民に押しつける。その欲するところとは何か? 「日本の政治家達(貴族や武士)は自己の永遠の隆盛(それは永遠ではなかったが、彼等は永遠を夢みたであろう)を約束する手段として絶対君主の必要を嗅ぎつけていた。」(『堕落論』坂口安吾) しからば、毎日のようにマスク姿で「外出自粛、休業要請」を叫ぶ現職都知事なども7月にある次の都知事選のことしか頭にないのではないか。東京オリンピックが延期となってしまい、焦っているのではないか? 都市封鎖と生活補償のような大胆かつ明解な政策ではなく、(罰則のない)自粛要請と(そんな条件、誰が当てはまるのかという)給付金という愚策しか打てない、この国の為政者は昔から国民の命を守るために何の力も持っていやしない。だから天皇やテレビの力を借りて自分らの威信を人民に押しつけるしかない。 あの戦時、天皇自身の意志に関係なく軍部の操り人形になったのは事実であり、新聞などメディアもまた率先して政府のプロパガンダになっていた。戦災を背景にした、この一見、正義の協働関係が天皇制を存続させ、国民を盲目にし、悲惨な敗戦へと導いたことは忘れてはならない。今日、マスコミ、特にテレビはコロナという厄災を背景に大々的に政府のプロパガンダとなり、極めて日本的な状況を生み出している。 「天皇制というカラクリを打破して新たな制度をつくっても、それも所詮カラクリの一つの進化にすぎないこともまぬがれがたい運命なのだ。人間は常に網からこぼれ、堕落し、そして制度は人間によって復讐される。」(『堕落論』坂口安吾) 日本の感染者数が諸外国より圧倒的に少ないのは検査してないから当然で、そうして現実を直視せず、それを日本人の特性のせいだとか言っているうちに悲惨な敗戦に導かれていくのである。 2020年4月11日

田地くんの憂い

世はコロナ過敏症の昨今だが、田地くんは歩く電磁波測定器と呼ばれるほどの電磁波過敏症。彼は決して電磁波の強い場所には近づかない。例えば、送電線からは6メートル以上離れて歩くし、高圧電線が見えたら急いできびすを返す。コロナウィルスと違って電磁波は家の中に蔓延っているから、外出しない日でも彼は毎日2回は風呂に浸かる。それは体内にたまった電気を放電するためだ。同じ理由で真冬でも裸足。そんな彼の家には一般家庭にあるような電子レンジとか冷蔵庫、ドライヤー、パソコン、テレビといった家電製品が一つもない。もちろんスマホやタブレットも持たないので、当然、友達もほとんどいない。周りの人間からは変人だと思われているが、田地くんからすれば、周りの人間の方がヤバイ。職場でスマホをいじりながら頭痛薬を飲んでる女性をみると、「そのスマホの電磁波が頭痛の原因なのになァ」と心の中でつぶやく。正月に実家に帰ると両親が腰痛のシップを貼っている。寝室を覗いてみると、「電気敷き毛布なんか使ってるのか。抵抗力の落ちる睡眠中に電磁波もろに浴びちゃ神経もおかしくなるよなァ」と心の中でつぶやく。同窓会で久しぶりに会った旧友がタブレットで彼のYouTube動画を友人たちに見せていた。彼はまだ30代だというのに髪の毛が真っ白。「やっぱパソコンとかタブレットの電磁波もろに頭で浴びると髪の色素も抜けるんだなァ。そのうち毛自体が抜けるぜ」と心の中で彼に忠告する。「これが5Gかァ、すげぇな」別の旧友が持ってる最新型のスマホに友人たちが群がっていたが、田地くんは心の中でつぶやく。「そんなもんが普及したら世の中電子レンジ状態じゃないか!」そんな田地くんに共感する人もごく稀にいる。「これいいよ、身につけてるだけで電磁波対策になるんだ」そう言って見せてくれたカードやアクセサリーみたいなグッズに「新興宗教のお守りじゃあるまいし」と言ってあげたい田地くんは実はギターを弾く。アコースティックだけでなく、エレクトリックギターも。「電気ギター?それ一番、電磁波出してそうじゃね?」と言われそうだが、「エレキはほとんど直流電流なんで大丈夫。アンプの電源もちゃんとアース取ってるし、かえって体内の静電気をアースしてくれるんで、いわば森林浴みたいなもの」という持論をもつ彼の不満は日本のコンセントのほとんどが2口ということ。こんなアース不足じゃ、みんなガンとか肝炎みたいな病気にもなるわ。 2020年4月15日

TRUMP UP

時は2018年。ホワイトハウスにて国防長官と在中アメリカ大使が話している。「長官、中国の武漢にあるWIVに視察に行った担当者から報告がありました」「おお、我が国が資金援助している生物兵器製造…、いや違った、ウィルス研究所だな。で、どうだ、完成したのか?」「数年前からコウモリのコロナウィルスを研究していまして、あと一息といったところです」「なるほど、コウモリか。鳥インフルエンザ並みの威力が期待できそうだな」「はい。しかし、視察した担当者によると、その管理体制がずさんでして、放っておくとSARSのようなアウトブレイクを起こしかねない状況だとのことで、資金のさらなる支援が必要との報告です」「うーむ。これまでにも多額の資金援助してきた上にか。…いっそのことアウトブレイクを起こさせて、その威力を試してみたらどうか?」「何ですと!?それは大変なことになりますよ。SARSのパンデミックの二の舞です」「具体的にどの程度の犠牲があるかと聞いているんだ」「それは試算してみないと何とも言えませんが、SARSが集団発生した15年前と違って、今や中国人は世界中に旅行しています。あっという間に世界中にばら撒かれてしまうでしょう。そうなれば何万という死者が出るだけでなく、各国で医療崩壊や都市封鎖が起きて、経済活動はストップ。ひいては世界金融恐慌が起こりかねません」「なるほど。中国人のバカンスはいつだったか?」「春節は1月末の1週間ほどです」「それじゃ、その前にアウトブレイクだな」「本気ですか?彼らは我が国にもやってきますよ」「承知の上だ。君は我が国のインフルエンザ患者が毎年どれだけ死ぬか知っているか?」「CDCの統計では今年は史上最多の患者数90万、死者8万人です。近年はワクチン接種率が低下しているそうです」「どうせその程度は自然に死ぬんだ。その中に人為的な風邪で命を落とす者が何割か混じっていたって誰がわかるものか」「しかし、何の為にパンデミックを起こすんですか?」「ブッシュ政権がフセインを処刑してイラクを封じ込めたように、トランプ政権が中国を封じ込めるために決まってるだろう」「しかし、あの時は結局、大量破壊兵器は見つからなかったじゃないですか。そんなでっち上げが何度も通用するとお思いですか?」「リメンバー、パールハーバー」「何ですか。急に」「第二次世界大戦末期、日本が我が国に戦争を仕掛けた、あの事件を忘れたか?」「忘れもしません!絶対に許しがたい蛮行です」「あれも承知の上で攻撃させたのさ」「何のためにですか?」「大義名分だよ。国民の戦意を高揚させるには多少の犠牲は仕方のないことだ。我が国はそうやって聖戦をでっち上げて繁栄してきたのさ」 2020年4月19日

アベリョウ

私はラジオCMの制作に携わる者ですが、先日、とある法律事務所からの仕事の依頼がありまして、コマーシャルの録音に立ち会いました。CM内容は、要するに、貸金業者に支払ったお金のうち、法的に払う必要がない「過払い金」を請求することで返還される可能性がありますのでぜひご相談を、という内容でした。まぁサラ金業者なんてけっこう言い値で法外な利息とか取ってるから、裁判したら簡単に勝てちゃうのかもなぁ、その意味じゃ、ヤクザ相手に人助けのお仕事してんのかーなんて思ってたんですが、途中からそこの事務所の社長さんが入ってきて色々注文をつけるんです。「司法書士アベリョウってとこは早口でさらっと読んじゃっていいから、最後の電話番号だけはテレフォンショッピングみたいにゆっくり強調して読んで」なんて。三〇秒という短い時間の中に伝えるべき内容をしっかり凝縮して、しかもメリハリがついてる。聞くと、この社長さん、ラジオのパーソナリティもやってたんだとか。さすがわかってんなぁと感心しました。後でネットで調べたんですが、この方、世界中の貧しい地域に学校を作ったり、ボランティア活動もされてるんだとか。すごい人だなぁなんてさらに感心。でも何だかおかしいというか、そんなうまい話ってあるのかなぁ?喉から手が出るほどお金が欲しいって人からしたら、すでに払ったカネから少しでも戻ってくるなんて夢みたいな話だ。でも、ちゃんとした法律事務所のようだし、それが電話一本で気軽に相談できちゃうなんて、そら飛びつきたくなるわ。もしかしたら過払い金の回収でこの事務所、ボロ儲けしてんじゃないのかなぁ。だって、このご時世、CMバンバン打つのって、けっこうカネがかかるはず。本来ならもっと相談者に返還できるのに、手数料とか言ってほとんど自分のフトコロに入れちゃってたりして。そら学校の一つや二つも建つよなぁ。で、そういう慈善活動してるってことで聞こえがいいし。もしそうだとしたらすんごい詐欺師だよね、あの人。 2020年5月1日

ワールドエンド

平岡公威です。私が自決してからちょうど半世紀。日本は今だに自衛隊を憲法に明記することすらできていないが、どうやらその必要もないのかもしれない。私が自決する前、かすかに期待していたのは、米中戦争が起こって、どちらかが核ミサイルのボタンを押すことだった。そうして世界が終わるのを見届けてから自決できたら、これほど最高の愉悦はないと考えていた。しかし50年後の世界を天界から覗いて見るに、私の思い描いたような終末観はオールドファッションだった。ビルゲイツが言ったように、人類最大の脅威はもはや戦争ではなくウィルスであり、ミサイルより病原菌に備えるべき時代に突入している。そして人々の日常生活も大きく変わらねばならない。会食や会合、行楽、買い物においてもソーシャルディスタンスを保ちながら生きなければならない。その距離を埋めるものは高度通信ネットワークである。私の生きていた時代には電話とテレビしかなかったが、50年後の世界には大容量の通信技術がある。私が生きていたら、もはや原稿用紙に万年筆で書くなどという非効率な方法はとっくに捨てていただろう。最近、私が憑依している人物の職場でこんなことを言ってみた。「5月に入って地震が多いから、いまに巨大地震で東京が全滅するかも」と。すると若い女性職員が「生きてても楽しいことないから、早く死ねるならその方がいい」と言ったのである。こんな未婚女性まで殺伐としているのかと少し驚いた。と同時に少し心配になった。これはきっと自殺者が増える。人は決して世界の終わりの前に自殺しない。する必要がないのだ。全ての自殺は世界が終わったことへの違和感を是正する行為だと私は思う。世界の終わりは愉しい夢でもあるから、宗教や映画、テレビもそれを描く。人々もその脅しに怯えながらますます信じるのである。恐怖政治というのも同じ原理で、自分で考えるより、何かを信じて従う大衆を誘導することはたやすいことである。私の幼少期の軍国教育がまさにそうで、体罰によって従うことを植え付けられた。自分で考える少数の人にとってはウィルスや病原菌はインフルエンザの亜種に過ぎない。人類史上いくつも発生したうちの一つが、なぜパンデミックを起こすのか理解に苦しむであろう。つまり現代の脅威はインフォデミック、情報による集団感染なのである。かつてニーチェは言った、「狂気は個人にあっては稀有なことである。しかし、集団、党派、民族、時代にあっては通例である」と。要するに、時代も世界も集団発狂の結果、終わるのであり、それを苦に自殺するのも、集団の一員として狂死したにすぎない。むろん、かくいう私自身もその一員であったことを吐露せねばなるまい。しかし憐れんで欲しい。自分で考える力のまだない幼少時代に、お國のために死ぬことを叩き込まれた少年が成人した途端、そのお國は滅びて、それでも路頭に迷わず、新たな民主主義ニッポンのために小説を25年も書いた忍耐力を。自分が生きるべき世界が終わっても生き続けるという愚行にとって25年は長すぎる。 2020年5月8日

日本のナゾ

私はネットニュースを主に執筆してるフリーライターです。先日「世界が首をかしげる日本の謎」とかいうコロナ関連の記事を読んでアホかって思った。要はその女性記者が日本からアメリカへ帰って、ビーチに行ったら誰もマスクしてないじゃん!ああ、これだ、日本の謎って!って感じの、マスク礼賛記事なわけ。ウィルスがどんだけミクロか知ってる?そんな幼稚な言説が罷り通るなら、あたしもいっちょ持論を展開してやると思って会社に提出したら即却下。ムカっ!仕方ないから、ここに載せてもらうことにした。結論から言うと、コロナの感染経路はセックス。つまりAIDSと同じ。2月頃、抗HIV薬で効果が見られたって報告が相次いだのに、なぜかその後、音沙汰ないのが怪しい。ところで、ビルゲイツがワクチン開発に莫大な投資をしてるって話はよく聞く。その一方で生後間もない嬰児になぜそんなにたくさんのワクチンを打つのか?ホルマリンとかアルミとかヤバイもんが入ってるって危ぶむ学者もいる。その背景には巨大なワクチンビジネスとか、世界を牛耳るディープステートによるアングロサクソンミッション、つまり人口抑制なんて陰謀論も囁かれてる。世界人口は現在70億だけど、いずれは200億まで膨らみ、これが食糧難を引き起こすと危惧されている。話はコロナに戻るけど、エイズウィルス発見でノーベル賞受賞したフランスの学者が武漢研究所でコロナウィルスからエイズワクチンを開発中に外に漏れたのではという説が一番正しいと思う。でも私はそもそもエイズウィルスも人口抑制のために開発されたのではと疑ってる。だってサルの免疫不全ウィルスが何で突然変異してヒトへ感染する?サルとヤッたツワモノがいるわけ?(そういや志村けんのパンくんってどうなったのかな?)人口爆発が著しいアフリカで大流行したり、ほとんどが男性の同性愛者ってのが実に不可解。自分と性道徳の異なる野人を排除したい人物がやりそうなことだ。日本でも初期の頃は輸血による薬害エイズがあったけど、すぐに激減して、今では約3万人の患者の8割以上が男性で、その半数以上が同性愛者ってデータがある。こんな特殊な感染状況だからエイズはあんまりパニックにならなかった。そういえば、コロナのちょうど1年前に世界的に大ヒットした映画「ボヘミアンラプソディー」も今回の騒ぎと何か関連がありそう。フレディもそうだし、あの当時はけっこうエイズで有名人が亡くなってた。今では複数のワクチンを組み合わせた療法で死亡者は激減してる。そうなると人類をバースコントロールしたいビルゲイツみたいな人には新たなエイズウィルスが必要ってことになる。セックスのみならず日常生活でも感染する、より強力な免疫不全ウィルスを武漢では開発してたんじゃないかな。それってノーベル学者が言ったようにワクチンとも言えるけど、それを患者以外にばらまくなら薬物兵器とも言えるよね。日本でも志村けんとか石田純一とかいかにもナイトクラブ行きそうな人が感染してるし、要は新型エイズウィルスなんだと思う。本人がヤッてなくても、ヤリまくってる人と一緒に飲んだだけでうつっちゃう。だからそういうとこ行かなきゃだいたいうつらない。子供が感染しないのも当然だし、日本で感染拡大してないのもマスクとかじゃなく、世界一低い出生率が物語るように、つまり、お盛んでないことが幸いしたってだけ。じゃあ、なんで日本人はお盛んじゃないかって?そんなん知らねえよ、日本男児に聞いてくれ。 2020年5月23日

こころ

あたしはヒーフィメール。3年前に陰茎と睾丸を切除し、造膣、つまり性別適合手術を受けて、いまはシーメールの彼と付き合ってる。彼は素晴らしく形のいい乳房と巨大な陰茎を持っていて、それをあたしは豊かなブロンドの胸毛と二つの孔で受け入れる。そして大概のことは心が受け入れる。性的マイノリティーだからというのもあるけど、心と身体のアンバランスを修正したことでそういう境地に達したと思う。何だっけ?仏教でもあるでしょ、菩提樹の下で悟りを開いた、みたいな境地。ああいう感じがわかる。前にヨーロー先生だっけ?バカの壁の先生が「日本人には身体がない」みたいなこと言ってたけど、それもわかるような気がする。だから切腹とか特攻とか自殺を平気でする。そりゃみんな怖いって思ったと思う。けど結局、心というか、頭が命令したことに身体が従っちゃう。それって心がないんだと思う。頭と身体の一致したものが心だから。あたしたちトランスジェンダーは何事も心で考えて、行動する。世間が言ってることとか道徳とか常識なんてものには左右されない。これまで心の声に従って光を見てきたから疑いようがない。人の声に従って何か光が見えたのか、みんなに聞いてみたい。そんなあたしには小池さんは同類のように見える。学歴詐称とか色々言われてるけど、政治家なんて鎌倉時代からそういう手練手管で生き延びてきた人物ばかり。出世のためなら何でもやる。人も騙す。長いもんに巻かれて、昨日の敵は今日の友、その反対もしかり。そういう人たちが義理だとか信念だとかキレイごと並べてるんだから選挙運動ってお笑いだけど、言葉なんて所詮タダだからいくらでも使えばいい。お金にも身体にも限度がある。だからこそ、有効に使わなきゃっていうのは、男性より女性の方が身につけてる。小池さんは政治家であるとともに、そういう一人の女性でもある。ほとんどの日本人が失った身体性をちゃんと持ってる。そういう人はかえって珍しいから、鋼の心みたいに見えちゃう。鉄の女っていうとサッチャーだけど、小池さんもそういうタイプだと思う。ただ、そういう人にマイノリティーや庶民の心がわかるかって言ったらたぶん難しいと思う。 2020年6月10日
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