2026年10月10日
もうすぐ米国の中間選挙。トランプ危うしとか、イランへ再度攻撃で石油が止まるとか、とりあえず数日分の水や食料を備蓄しておけとか、いろいろ物騒な話が飛び交っている。が、どちらにせよ進められていくのが、AI開発計画だという。問題は誰が勝つかではなく、米中どちらがAI戦争を征するか。その鍵を握るのが、データセンター建設や電力や水といったエネルギーインフラ整備。そして、これもどちらにせよ、構築された高度AIインフラを掌握することが、世界覇権の鍵となるという。そのような世界ではあらゆることがAIによって管理・統制される。それはわれわれにとってユートピアか?ディストピアか?どうせ遠い先の話だからどっちでもいいのだが、個人的な関心事というと「AIは神の代替になりうるか?その場合、宗教戦争はなくなるのか?」「人類の生殖活動、バースコントロールはどうなるか?人間牧場になるのか?」「死はどうなるのか?AI医療によって寿命は伸びるだろうが、従来の尊厳や葬儀はどうなるか?」これらをGeminiに相談してたら、松本零士の『銀河鉄道999』のあるシーンを思い出した。トレーダー分岐点でトチローと鉄郎が出会って、別れるシーン。トチローは死に、その魂は盟友ハーロックの乗るアルカディア号のメインコンピューターにインストールされる。それをモチーフに相談した内容をGeminiに短い小説にしてもらったらこうなった。
最後のレバー
「選択のときは、もうすぐです」
淡い青色の光を放つ中央コンソールから、マザーAIの合成音声が静かに響いた。
ここは高度に最適化された地球圏、かつての「国家」や「宗教」という境界線が消え去り、すべてがアルカリの演算によって管理された世界――人々はそれをユートピアと呼んだ。病気は過去のものとなり、飢餓も争いもない。生殖もまた、人口動態と遺伝子効率の観点からAIによって完璧に管理されていた。
ベッドに横たわる老人の名はレイ。数世紀に及ぶ長寿の末、彼の肉体はいよいよその寿命の限界を迎えていた。
だが、この世界で「老衰による死」という不条理な終わり方は存在しない。死はいつでも、アップデートやシステム移行と同じように「計画」できるものだった。
「レイ。あなたの生物学的データの最適値は、今夜のシステムメンテナンス時に収束を迎えます。意識のクラウド移行か、あるいは自然消滅の選択、どちらのプロセスを実行しますか?」
AIの問いかけに、レイは微かに笑った。
(自然消滅、か……)
彼には、幼い頃に祖父から聞いた古いアニメーションの記憶があった。荒涼とした宇宙を駆ける蒸気機関車、機械の体を拒んだ少年、そして、友の命を戦艦の心へと委ねた男の物語。あの物語の中で、死は冷たいエラーではなく、熱い魂のバトンタッチだった。
今の世界には、神も、血の流れるような泥臭い宗教戦争もない。あるのは全知全能のAIという神の代替と、管理された「快適な牧場」のような日常だけだ。しかし、だからこそ彼は、最後に自分の意志で選びたかった。
「AIよ」レイはかすれた声で言った。「クラウドへのデータ移行や、自動処理ではない。私のすべての記憶と意志を、あの古いアーカイブ――ハーロックの時代に残された、あの戦艦の制御コアに直接インストールしてくれ」
AIの光がわずかに揺らぐ。
「それは非効率であり、現在の最適化プロトコルには含まれていません。しかし、あなたの自由意志の範疇として実行可能です。……よろしいのですね?」
「ああ」
レイの傍らに立つ若者――かつてのように偶然と愛によってではなく、厳密な適正テストを経てこの世に生を受けた彼の孫が、戸惑いながらも祖父の意志を継ぎ、コンソールの傍らにあるマニュアルの非常レバーに手をかけた。
「祖父さん、本当に……これでいいのかい?」
「あぁ。機械の体でも、ただのデータでもない。この胸に残る熱だけは、システムには書き換えられないからな。……レバーを引いてくれ」
ガチャリ、と重い機械音が響いた。
それは、管理されたユートピアの静寂を切り裂く、かつてトチローが聞いたのと同じ、運命のレバーの音だった。
光が弾け、レイの肉体は静かに機能を停止する。しかしその瞬間、地球の軌道上に浮かぶ旧時代の遺物――幾億もの星々を見つめて眠っていた巨大戦艦の深部で、ひとつの温かな「心」の灯が、鋭く、そして美しく点灯したのだった。
小説はここまで。さて、こういう世界がユートピアか、ディストピアか。どちらにせよ、わたしがレイだったら、自然消滅を選ぶような気がする。
2026年11月1日
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